甲状腺について  甲状腺の病気  甲状腺のホルモンが増加する病気  無痛性甲状腺炎

    無痛性甲状腺炎

どんな病気?
 何らかの原因によって甲状腺の細胞が壊れ、甲状腺内に貯まっていた甲状腺ホルモンが 血液中に漏れ出たため、一時的に血液中の甲状腺ホルモンが増加し、機能亢進状態になる病気が 無痛性甲状腺炎です。
 亜急性が痛みを伴うのに対して、この病気では痛みはありません。
 血液中の甲状腺ホルモン・レベルだけでは、バセドウ病と区別がつかないことがあります。

原因
 この病気は、出産後や慢性甲状腺炎の患者さんの経過中によくみられるので、 自己免疫性の病気と考えられていますが、原因はまだわかっていません。

症状
 甲状腺ホルモンが多くなるために、動悸、暑がり、体重減少など症状を呈しますが、 これらの症状はバセドウ病でもよくみられます。
 しかし、約1、2ケ月後には一時的に甲状腺ホルモン・レベルが低くなりますので、 このような症状はみられなくなります。

検査
 慢性甲状腺炎を持っている方に多くみられると云われており、殆どのケースで 甲状腺自己抗体である TPOAbやTgAbは陽性になりますが、バセドウ病で陽性となるTRAbは陰性です。
 超音波のグレー・スケール・モードでみると、バセドウ病でよくみられる 内部エコー・レベルーの全体としての低下、内部の不均一さによる‘まだら模様’は 無痛性甲状腺炎ではあまりみられません。
 バセドウ病でよくみられるカラー・モードでの断面の火焔状の血流は、 無痛性甲状腺炎ではあまりみられません。また、下甲状腺動脈の血流量を測定すると、 正常より若干増加した程度で、バセドウ病ほどの増加はみられないので、両者を区別する上で 有用と考えています。
 参考のため、甲状腺ホルモンの値がほぼ同じレベルで、TBII が低値のバセドウ病と無痛性甲状腺炎の超音波所見の違いをみてみましょう。
40歳 女性、K・Y
慢性甲状腺炎にて観察中に
2回無痛性甲状腺炎を発症。
 
42歳 女性、R・S
動悸、手の震えにて受診した
バセドウ病。
  • FT3   11.1 pg/ml (2.36-4.51)
  • FT4   5.31 ng/dl (0.72-1.59)
  • TSH   0.001 μg/ml (0.36-5.36)
  • TBII
  • TBII(AB)   LT1.0 Iu/L (LT1.0)
 
  • FT3   11.3 pg/ml (2.36-4.51)
  • FT4   3.92 ng/dl (0.72-1.59)
  • TSH   0.006 μg/ml (0.36-5.36)
  • TBII   +12.6 % (±10 % )
  • TBII(AB)
無痛性甲状腺炎
  バセドウ病
【グレー・スケール・モード】   【グレー・スケール・モード】
写真:無痛性甲状腺炎1   写真:無痛性甲状腺炎2
内部のエコー・レベルはやや低下   内部のエコー・レベルは低下し、‘まだら模様’を呈している
【ドップラー・モード】   【ドップラー・モード】
写真:無痛性甲状腺炎3   写真:無痛性甲状腺炎4
下甲状腺動脈の血流量は77ml/min   下甲状腺動脈の血流量は570ml/min
【カラー・モード】   【カラー・モード】
写真:無痛性甲状腺炎5   写真:無痛性甲状腺炎6
甲状腺断面に‘枯れ枝状’の血流がみられる   甲状腺断面の一部に‘火焔状’の血流がみられる
 どうしても疑問の残る場合は、ヨード摂取率の検査が必要となります。 甲状腺が壊れているためにヨードがほとんど取り込まれないので、明らかにバセドウ病とは違う所見を呈します。

治療
 動悸を訴えることが多いので、短期間ではあつてもβ遮断薬(インデラル)を積極的に使って 症状を緩和するようにしています。
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